2007年11月05日

物語 イタリアの歴史(藤原道郎、中公新書)

 本編とUからなる時代を画する人物を通しての本格的なイタリアの歴史の物語である。作者があとがきで書いているように、イタリア語では歴史と物語は同じストーリアである。作者は現代の歴史が瑣末な出来事の寄せ集めに終始して、本質的な時間の流れを描き出すことをしなくなったことを嘆いている。
 確かに史実は常に勝者が都合の良いように書き加えていることが多い。時としてねじ曲げ、時として創作してしまうことすらある。また栄華のみを描いて、その周辺に触れることは少ない。
 当然のことながら、どのような英雄であっても歴史の波に洗われ浮沈することが世の常である。興隆の時と衰退のとき、あるいは交代のときを向かえ、暗雲垂れ込めることだってある。それが特定の人に集約されることもある。
 そうした時代の屈折点を生き抜いてきた人たちの物語は、時代背景を見事に描き出す。作者の視点もさることながら、非常なリアリティティをもって感じられるのは、筆者の緻密な調査と想像力で紡ぎ上げたストーリアであるからだと思う。
 また読み直してみたい佳作である。


posted by Sono_Hiro at 20:52| Comment(6) | 未分類 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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